C子さん第7話・前編 |
2001/2/12 |
| 恒例の食事会に行ってきました。メンバーはいつも通り、Aさん・C子さん・そして僕です。かねてよりC子さんにはお人形服(右の写真参照)の試作を依頼していたのですが、そろそろ半年になるというのに、はかどっている気配がありません。本当にやれるのかどうか、やる気があるのかないのかを、今回ははっきりさせてもらう約束になっています。C子さんの回答いかんによっては、今まで温めてきた「お人形合作計画」がご破算になりますが、かといって無理強いはできないので、向こうの出方次第です。気をモミモミしちゃいます(^^;。 | ![]() お人形の一例 |
そういう僕の胸中は別にして、まずは集合場所のサ店で雑談から始まりました。他愛もない世間話から、C子さんの年齢・誕生日の話になりました。そろそろ28歳になるそうで、決まった相手のいないC子さんは「このままだと○○さんみたいになっちゃう〜」と言って笑いました。○○というのは僕の苗字です。
僕がいいトシこいて彼女のひとりもいないことをみんな知っているので、会社の同僚などはよく「どうすんのー?」「さびしいねー」などとからかってきます。かなりきついギャグが飛び交うこともありますが、遠慮のない軽口を叩き合うのが習慣になっているので、お互いに後腐れなく笑っています。我々の間ではこれを「あしたのジョーみたいにノーガードで殴り合っている」と表現しています。カウンターが決まってしまい、両者ダウンすることもしばしば(^^;。
そういう仲間内の軽口なら笑って済むところですが、こともあろうにC子さんに「○○さんみたいになっちゃう」と言われて、僕は絶句しました。あんたさえ「うん」と言ってくれれば、僕はいつでも結婚するぞ! それをだなあ……。
僕が変な顔をしているのを見て「しまった」と思ったのでしょう。しかし、勘違いしたC子さんはさらに墓穴を掘ります。
C「でも○○さんて焦ってないよねー」
僕「のんびりしているわけではないけど、焦ってもないね」
C「合コンとかしてるんだよね?」
僕「してるけど、ぼちぼちだなあ」
このコはいったいなにを言い出すんだ? 僕が「お見合いしよう」と持ちかけたことなんか、まるでなかったかのように話している。当の本人を前にして、僕の返事があいまいになっていることに気づかないのか?
C「あっさりしてるよね、去るものは追わずっていうか」
こうまで言われてついに、のど元で抑えていた言葉が出ました。このとき、僕はきっと怖い顔をしていたに違いありません。
僕「●●さんを追いかけてるよ」
●●さんというのはC子さんの苗字です。改めて面と向かって言われて、C子さんも慌てたのでしょう。さらにさらに墓穴を掘ります(^^;。
C「あはは、とりあえずそう言っとくって?(^^;」
ここに至って、見かねたAさんがフォローを入れてきました。
A「まあ男は誰でも未練たらしいからね」
意外な展開にうろたえたC子さんは、とりあえず笑ってごまかしていたような気がします。ふたりを直視できないまま、僕は本音を吐き出しました。
僕「本当はこんなこと言いたくなかった」
しんとして、3人とも無言。ということにはならず、会話は滑らかに継続しました。しかし、僕は一気に盛り下がってやる気なしモードに突入。口が滑ったC子さんと場をとりなすAさんも、ハラハラしていたことでしょう。
やる気なしモードから気を取り直すまで、ほんの数秒でした。自分でイヤになるくらい、立ち直り早すぎ(^^;。せっかくの食事会なのに、楽しくなければ集まった意味がないですからね。
とはいえ、さっきまでの元気一杯モードとは違います。座が白けないように話を合わせているだけで、僕としては居たたまれない気分でした。気持ちを切り替えるため、しばらくしてから席を外し、トイレに行くことにしました。
トイレではわざとゆっくりしました。手を洗いながら鏡に映った自分の顔を眺め、「今ごろふたりで、さっきのことを話しているだろう」と考えました。事実そうだったことを、あとで聞きました。
【後編に続く】