大名古屋ドールフェス(3)

2001/3/26

 やはりあれはC子さんでした(昨日の絵日記参照)。

 今日の帰りがけ、C子さんのほうから話し掛けてきました。

「昨日行ってきたよ、お人形のあれ」

 部外者を装っている僕は、はやる心を抑えて、さりげなく聞き返します。

「どうだった?」
「着いたらぎりぎりだった」


 なんでも、近々結婚する予定のお兄ちゃんが彼女(ちなみにC子さんより1歳年下(笑))を連れてきたため、その接待?に時間を取られてしまったそうです。

「早く帰れ〜って思ったんだけど、抜け出せなくて、着いたら15分くらいしかいれなかった」

 やっぱり。

「実は僕もあそこにいて、近くで見てた」

 とは言い出せず、遠まわしに探りを入れます(笑)。

「どんなだった?」
「いやー、私には入っていけない世界だと思った(^^;」
「なんで?」
「お人形なのに、周りは男の人ばっかりで、私一人で入っていくのは抵抗あった」
「ああ〜、そうだろうなあ〜(^^;」
「一緒になってわあ〜ってやれるとは思えない」
「でも送り手と受け手は違うからね。売ってる服はどうだった? 参考になった?」
「ジャンルが違ったのかなあ? こんな」


 と言って、両手を上下に広げるC子さん。

「大きい人形とか、小さくて動かない人形とかばっかりだった」

 それは見てるところが違うんだよ。入ってすぐのところはスーパードルフィーや創作人形のコーナーだったから。動かないように見えたのは素体の種類が違う(ナチュラルボディ?)だけで、着せ替え人形であることに違いはないはず。奥のほうに行けばもう少しわかりやすかったろうに。

「ああ〜、アンティークなビスクドールみたいなの?」
「そうそう」
「ちょっと怖いよね」
「あはは(笑)」


 しっ、白々しいぞ、僕! なぜ

「ユノスってどうよ?」

 と言えないんだ! バカバカバカ〜!

 おそらくC子さんは、入り口→レイフゾーン→ドルフィー・リカちゃんゾーン→バービー・ジェニーゾーンと通過し、TOTOCOで買い物をしたところで時間切れで退場したのでしょう(右図参照)。あと10mで僕のブースです。ふと後ろを振り向いたら、C子さんが向こうの方を見ながら歩いていたわけですから、僕の背後を通過したときはほんの2〜3mの距離だったはず。きわどい(^^;。 C子さんの軌跡(推測)

「ドレスとか見た?」
「うん、見た。ボタンやスナップを買ってきた」


 それは、TOTOCOで買っている姿を後ろで見てたから知ってる(笑)。

「作りかけのやつがあるんだよね?」
「まだ全然だけどね」
「作れそう? まだ継続できる?」
「時間がねー、やりたいんだけど」
「やる気があるなら、また世話焼くけど」


 お人形好きな知人がいて、そのために僕が仲介役をしているということになっているのですが、途中から我が事のようなトークになっています。事実、自分のことなんだけど(^^;。

「まだやる。でも時間がなー」

 そうか。まだやれるか。それなら、次回「大名古屋ドールフェスティバル」があれば、そのときこそ相見えることになるやもしれぬな…。僕は、戦国時代の剣客にでもなったかのような気持ちで、C子さんの笑顔を見つめ返すのでした。

 帰宅の途中、車の中で「やはりあのとき、思い切って声をかけるべきだったのだろうか」と、しばし考えました。

 あの会場で、自分の背後をC子さんが通過したことに、僕は気づきました。しかし、C子さんは、会場の大半を回っておきながら、ついに僕のブースに来ることはなく、僕に気づかないまま会場を去りました。あと、たった一列だったのに。

 僕は自分の正体が露見することを恐れていました。しかし同時に、僕のブースにC子さんの試作品が並んでいるところを見てほしい気持ちもあったのです。

 振り向いて気づいた僕と、気づかずにあさっての方を向いて帰っていったC子さん。僕とC子さんの関係を暗示しているようで、嘆息を禁じえません。

【つづく】

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