インクジェットデカールVer2

2001/6/17

 今回は回りくどい説明が続きますが、我慢して読んでください。

 お人形のヘッドを自作しようとしても、アイペイントは難しい。それならアイデカールを自作しようと考えたわけですが、市販のデカールシートは熱転写プリンタ(アルプス電気のMD−1500など)を前提としているため、インクジェットプリンタでは印刷不可能(らしい。試していません)。しかたがないので、インクジェット用のシール用紙(エレコムのタトゥーシール)を使ってデカールを作った…。これが、今までの経緯です。詳細は以下を参照してください。
インクジェットデカール(1)
インクジェットデカール(2)

 インクジェットデカールはなんとか実用に堪えられますが、それでも多くの問題点があります。

  1. 水に弱い。→耐水性塗料でコーティングする。
  2. インクジェットプリンタには白インクがない。→デカールに白色塗料を塗る。
  3. 貼り付けの位置決めが難しい。→デカール裏面にアタリ線を引いておく。
  4. 貼り付けたあと、位置の微調整ができない。→一発勝負に慣れるしかない。

1と2はいいとして、3と4は深刻な問題です。この二つは根本的には同じところからきており、ようするに接着剤の問題です。ヘッドに貼ったあとも少しくらい位置を直すことができるなら、面倒な線引きを省くことができるばかりか、好みの位置に貼ることで表情にも幅ができます。なんとしても克服すべき問題です。

 通常のデカールシートは熱転写プリンタ用。しかし、熱転写プリンタは市場からほとんど消滅している。また、表面がテカるため、仕上がりもイマイチ。つや消し塗料などの溶剤にも弱い…。

 反対に、インクジェットデカールは溶剤には強いが水に弱く、接着剤の性質がデカールに不向き。仕上がりはきれいだが、難易度が高すぎる…。

 そんなことを思案しながら、なにか使える材料はないかと、ボークス名古屋ショールームの店内をうろうろしていました。そして、熱転写用のデカールシートを手に取ったり戻したりしているうちに、閃いたのです。

 「熱転写用シートにインクジェットデカールを貼り付ける!」

 このときの僕の気持ちを想像してください。まるで、天の啓示を受けたようでした。

 熱転写用シートを土台として、その上にインクジェットデカールを貼り付ければ、今までの問題はほとんど解決できます。逆説の発想というべきか、これはまったくの盲点でした。まさに画期的。

 作業の手順を追って説明しましょう。難解な部分は、前述のインクジェットデカール(1)インクジェットデカール(2)を参考にしてください。

白目塗装 1.つや消し塗料を塗らず、いきなり白目を塗装します。ここでつや消し塗料を塗ると、最終的にデカールの厚みが増して、仕上がりが悪化します。白色塗料はリキテックスを使用しますが、水で溶くと印刷がにじむので、アクリル溶剤(タミヤのX−20A)で溶きます。これって結構いい匂い(笑)。←塗料や溶剤は他のものでもいいでしょう。
接着剤貼り付け 2.接着剤シートを貼ります。
デカールシート 3.接着剤シートの透明フィルムをはがして、インクジェットシートを熱転写シートに貼ります。僕はWAVEの「クリアデカール」(B5×3枚で600円)を使用しました。←他社製品でもいいと思います。
4.ここまでの作業で、デカールの両面に裏紙があることになりました。上から順に説明すると、
・インクジェットシートの裏紙
・インクジェットシート
・白色リキテックス
・接着剤
・熱転写シート
・熱転写シートの裏紙

という構造になっているはずです。
5.インクジェットシートの裏紙を水で濡らしてはがします。熱転写シートの裏紙まではがしてしまわないよう、注意してください。水を含ませた脱脂綿またはティッシュペーパーでこすって、必要な分だけ濡らすといいでしょう。
2重構造 6.熱転写シートの上にインクジェットシートが張り付いた状態です。
7.デカールをハサミで切り抜き、熱転写シートの裏紙を濡らします。水を入れた薄い皿にティッシュペーパーを敷いておくと、濡れすぎず、いいようです。10秒程度濡らしたら、デカールを台紙からずらしてヘッドに貼り付けます。左右の目を別々に貼ると、お好みの表情が出せるでしょう。
8.水分と気泡を取り除き、乾燥したら瞳にハイライトを入れます。
9.デカールの表面をつや消し塗料で塗装します。
作例 作例
完成。

 厚みが増した分、エッジが多少目立つようになりましたが、つや消し塗料で段差を埋めることでなんとかなるでしょう。5〜7の切り抜きと貼り付けの作業手順は多少前後してもかまわないと思います。切り抜いてから2枚の裏紙を同時にはがし、すぐにヘッドに貼り付けたほうがいいかもしれません。

 ボークスから発売されている「瞳きれいセット」も効果的なようです。これは3本セットで1,200円と高価ですが、ようするにシンナー・メタルプライマー・マークソフターのセットと思われます。シンナーはヘッドを洗浄し脱脂するため、マークソフターはデカールを柔らかくしてヘッドに密着させるためのものと思いますが、メタルプライマーってなんですかね? 表面を整えて接着しやすくするためのものらしいですが、よくわかりません。つや消し塗料を流用してもいいのではないかとも考えていますが、試してはいません。買い物が面倒でない方は、グンゼの商品を買ってこれば、「瞳きれいセット」よりも安上がりでしょう。

 「瞳きれいセット」の使用方法は、
1.「ふきとり液」でヘッドの貼り付け位置を洗浄する。
2.「瞳定着液」を貼り付け位置に塗っておく。
3.「瞳定着液」が乾燥したらデカールを貼る。
4.貼り付け位置を決めたら、デカールに「瞳柔軟液」を塗る。表面にインクジェットシートが重ね貼りしてあっても、それなりに効果があるらしい。
5.デカールが乾燥したらハイライトを塗って、つや消しコーティングをする。

となります。

 今回の改良により、インクジェットデカールの長所を活かしつつ、従来のデカールと同じように使用することができるようになりました。作業が容易になったおかげで、貼り付けの失敗が減るに違いありません。技術的にはこれでほぼ完成でしょう。今後は新しい素材の登場を待ちつつ、作業工程のさらなる改善を図りたいと思っています。

 二層式インクジェットデカールセットも、いずれはイベントや通販で販売したいと考えています。ホント言うと、ボークスで委託販売できるといいんですけど、単価が低すぎて商売にならないかな? WAVEの「クリアデカール」はボークスの取扱商品なので、そのあたりを考慮するとまったく無理な話ではないかもしれませんが…うーん。もしかしたらそのうち相談を持ちかけるかもしれないので、そのときはよろしくお願いしますね、名古屋SRの店長さん。←読んでるかどうか知らんが(^^;。

【つづく】

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