半七捕物帳

2007/2/18

 ずっと忙しくて余暇がほとんどありません。せめて通勤時間(電車で片道1時間)を有効活用しようと、モバイル機で青空文庫の作品を読んでます。このところ読んでるのが岡本綺堂の「半七捕物帳」。

→青空文庫 作家別作品リスト:岡本 綺堂
→岡本綺堂 - Wikipedia
→半七捕物帳 - Wikipedia

 「半七捕物帳」は日本で最初の岡っ引捕り物小説です。小説家の野村胡堂は、文藝春秋から「岡本綺堂の半七捕物帳のようなものを」と依頼されて「銭形平次」を書いたそうですから、「半七」の人気が伺えますね。読んでみると、確かに面白い。最初にして最高。ガンダムにたとえると半七はRX−78です。Zガンダムもいいけどね!

 時代は江戸の末期ですが、維新回天や倒幕運動などは直接関わりがありません。質素に暮らす昔気質の半七が、大小さまざまの事件を解決していきます。ひとつ30分くらいで読める短編の連作で、それが60以上あります。電車で読むのに最適(^^)。

 推理物としては、偶然に頼る部分があったりしてさほどではありません。しかし、物語の背景にある江戸の情緒や風俗がたいへん興味深いのと、全編を通じて情と理をわきまえた物語が痛快です。大昔に書かれた小説だからといって、愚鈍でもなければ義理人情一本槍でもない、聡明な作品です。作者の生い立ちも影響しているのでしょう。ただ一点気になるのは、「しかし」の意味で「しかも」と書かれていることです。その当時の文法としてはそれでいいのかもしれませんが、僕の感覚では最初戸惑いました。

 とくに感心するのが、可能性を否定しないことです。不可思議な事件があったとして、その犯人を追及するに当たり、半七は決して了見の狭い先入観にとらわれたりしません。「○○が△△ということは通常では考えられないが、ではまったくないかというとそうとは言い切れない」。そう考えると、その可能性も捜査から除外しない。かといって単に理詰めでいくのではなく、自分の勘を信じ、人の情にも心を配る。この絶妙なバランスが半七を好人物にしています。自分はこの人が好きだ。そう思わせるものがあるのです。

 読者に対するけれん味もあるらしく、登場人物に若い女が出てくれば、まあたいていは「小奇麗な器量良し」か「ちょいと小粋な美人」ということになってます。文章とはいえ、若い美人が出てきてイヤな気はしません(笑)。

 冒頭で「読んでいる」と書きましたが、実は60余編すべて読破して、現在は岡本綺堂の他の作品をしらみつぶしに読んでいるところです。面白れー。「半七」の中では、とくに「奥女中」がよかったですね。美しい姫様が登場するなど、ビジュアル面で最高! 文字だけの小説だけど(笑)。ラストのオチも、お屋敷の心配りにほっとさせられます。めでたしめでたし、というほかありません。

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